石油業界の投資情報を発信している
oilprice.comから。地熱発電先進国のアイスランドから日本への提言だとか。
文中のテキストリンクは管理人のほうで付けたものです。
日本は、「核」を止めて地熱発電を受け入れるのだろうか?
Will Japan Embrace Geothermal Power to Move Away from Nuclear?
(By. John C.K. Daly of Oilprice.com 2012年12月31日UP)
12月16日、核推進派の自由民主党は全国的な議会票を獲得して勝利したにも関わらず、国の原子力政策を取り囲む問題は去っていない。
旧政権の民主党は、3.11の福島第一原発災害の余波で、日本の54基の原発をすべて停止させ、福井県の大飯原発の2基の原子炉だけを再稼動させた。
日本のエネルギーの選択幅を広げる別の要素は、地球の反対側のアイスランドという国からやって来た。
アイスランドの駐日大使、
ステファン・ラウルス・ステファンソンは、東京の国連大学本部で、12月5日に行ったスピーチの中で、日本の膨大な地熱発電の潜在力について、アイスランドの85年にわたる(地熱発電の)成功の歴史をひとつのモデルとして引き合いに出しながら、楽天的な見方を示した。
国連大学の場所
また、ステファンソンが、福島第一原発の核災害が起こる4ヶ月前の2010年12月に、
アイスランド地熱エネルギー・フォーラムを呼びかけたように、国連大学で、その話題について話をしたのは初めてのことではない。
この2010年のフォーラムでは、
アイスランド外務貿易大臣のオッシェル・スカルプヘイジンソンが基調演説をした。
彼は、地熱大国である日本とアイスランド両国の間の類似点を大いに強調した。
この両方の島国は、国のエネルギー需要の絶え間ない増加に備えるため、天然資源を利用しうる位置にある。
東アフリカも含めて、未開発の地熱エネルギーの潜在力を保有している多くの国々の例を見ればわかるように、地熱エネルギーが、既存エネルギー不足のつなぎ手になるだけでなく、現在の既存エネルギーがなくても地熱エネルギー保有国に電気を賄う助けになるのだ。
宣言しよう、「地熱の時代が、今始まるのだ」と。
ステファンソンは、聴衆たちに、地熱エネルギーは、今、アイスランド経済の屋台骨になっており、一次エネルギーの66パーセントが地熱資源から来ていると話した。
この話を聞いた何人かの聴衆は、自分たちの今までの計画が覆される思いがしたであろうことは明らかだ。
ステファンソンは、日本は、世界で3番目に大きい地熱発電のポテンシャルを持っているにもかかわらず、
1999年を最後に地熱発電所の建設を止め、その4年後には、政府のすべての資金が、いったん引き揚げられてしまったことについて語った。
これは、日本政府が、原子力にその原資を集中させようという意識的な決定をしたことによる。
その決定が下されたとき、どこの政党が日本の政府を支配しただろう?
それは、自由民主党である。
ステファンソンは、日本が本腰を入れて地熱エネルギーを実現しようと投資するのであれば、25基の原子炉に匹敵する電力を地熱エネルギーに置き換えることができるだろう、と付け加えた。
アイスランドが地熱発電所で使用している設備を日本が建造したように、地熱発電タービンの世界最大のメーカーである日本は、地熱発電装置に必要な技術・専門知識をほとんど持っているのである。
日本の東芝、三菱重工業、富士電機の3社併せると、世界の地熱タービン市場の半分以上を占めることになる。
にも関わらず、現在、地熱エネルギーは、日本の全電力生産のわずか0.3パーセントを占めているだけである。
しかし、自由民主党が政権に復帰したとしても、ステファンソンは、(日本の地熱エネルギー開発への)支持しようと、袖の下にカードのエースを隠し持っているかもしれないのだ。
8月21日、ステファンソンが、アイスランド駐日大使として、明仁天皇に信任状を捧呈したとき、天皇はアイスランドと日本との通商取引について訊ねる前に、地球温暖化に関係する日本の役割について大きな関心を示された。
(管理人注釈:
以上、原文ママですが、これは平成20年8月21日、皇居において行われた信任状捧呈式のときの話であると思われます)
【外務省 新任駐日アイスランド大使の信任状捧呈について】
アイスランドが2009年にエルサルバドルで開設したのが、初めての海外向け地熱発電所だった。
アイスランドの電力産業は、さらに地熱発電所を輸出したいと考えている。
(ここで終わり)
安倍政権と同じ、期待バブルの地熱発電
アイスランド外務省は、地熱発電の“先輩格”として、日本にアドバイスを行っています。
日本は、石油、石炭に代わるいくつかの自然エネルギーのオプションを持っています。
風力、天然ガス、地熱、メタン・ハイドレート…。
原発事故を起こした後、この中で特に実現性が高いと有望視されているのが地熱発電です。
2012年2月17日から、
超党派の議員連盟がアイスランドの地熱発電の現状を視察し、ヨハンナ・シグルザルドッティル首相と日本のエネルギー関連の産業界が会談しています。
富田茂之 超党派地熱発電普及推進議員連盟アイスランド視察
日本の人口の400分の1の小国家への表敬訪問のような形。ここにいる国会議員たちは何か発見できたのでしょうか。
「私は、反原発ではなく、反核燃料サイクル」と父親の一郎と同じように態度の煮え切らない河野太郎も、自身のブログの「
なぜ自民党は...したのか?」(2011年07月12日)という記事の中で、
「昭和4年に通産省と環境庁のあいだで結ばれた国立公園内の地熱発電の開発の凍結に関する覚書は、今日現在有効なのか、もし有効だとしたら、なぜ、自民党はこの覚書を無効にしなかったのか」
と書いており、なかなか地熱に踏み切ろうとしない党の態度をいぶかしく思っていたようです。
小沢一郎の「国民の生活が第一」(当時)は、
10月16日からドイツに脱原発視察団を派遣しました。
具体的に、どういう工程を経て、脱原発を進めていくことが可能なのか現実レベルで煮詰めるためです。
このときに、
ドイツ政府からの協力もあって、風力・水力・地熱発電についての情報交換も行いました。
このように、「地熱発電」というのは、常に日本のエネルギー・ミックスを構築する上で必ず出てくるオプションですが、日本がアイスランドと同じ島国で火山国だからといって、果たしてこの人口大国・日本で適合するものなのでしょうか。
広瀬隆「地熱発電が地震を誘発する」2012.06.07
広瀬隆氏は正統的なことを言っています。
一般に地熱発電をやると地震が起こりやすくなるというのは証明されています。
スイスでは、「地震を誘発させた」として、
地熱発電のプラント会社の社長が刑事告発までされています。
日本の温泉業者が地熱発電に抵抗している云々を言う前に、この点が技術的に解決できるのか、ここが焦点となります。
ヨーロッパで行われている地熱発電の方式では、高温岩体発電という技術が使われており、地下深くの熱い岩盤に水を注入して、そのときに出る高圧の水蒸気を取り出すというもの。
岩盤を破砕するときに群発地震が起こりやすくなることは知られています。
要するに、小規模の水蒸気爆発と似た反応を常時、数kmの地下で引き起こしているのです。地震が起こるのは当たり前の話です。
一方、日本の場合は、火山地帯にプラントを造り、地中深く井戸を掘って、そこから直接、水蒸気を取り出すという方式なので、地震は起きないという説もありますが、やはり地震は起きやすくなります。
それは、現在の日本列島が巨大地震の周期に入っているからで、実際に、
国の監視機関は24時間体制で富士山を始めとする噴火懸念の兆候のある活火山をモニターしています。
日本の火山は活動期に入っているので、アイスランドは別にして、ヨーロッパの山々のような安定した状態にありません。
地熱発電プラントの規模にもよるのでしょうが、地殻からの圧が上がってきいる中で、その圧を人為的に抜くわけですから、下からますます圧力が高まることは容易に想像できることです。
詳しくは、
広瀬隆「地熱発電が地震を誘発する」2011.05.10 の動画をご覧ください。
ここのところ、マスコミが焚き付けていることもあって、急に政府や政治家が地熱発電が有望と騒ぎ出しているのですが、調査を進めていけば、おそらく幻滅するでしょう。
私も一時期、地熱発電に期待したことがあったのですが、どうも過大評価していたようです。
それより気になっているのは、アイスランド外務省が3.11以降、日本に地熱発電に踏み切るよう働きかけていることです。
要するに、アイスランドと日本が連携して、地熱発電プラントを輸出して儲けようぜ!という働きかけなのですが、なにやら、この背景には胡散臭い臭いが漂っています。
端的に言えば、ロスチャイルド国際金融財閥の強烈な臭いが漂っているのです。
アイスランドが国際銀行家たちの陰謀に嵌められて金融破綻させられたことは記憶に新しいでしょう。
そのとき、アイスランド国民は海外からの救済を断って国家破綻の道を選んだのです。
今、欧米の通信社などに日本のマスメディアが操られて、一般の人たちの地熱発電への期待が高まっています。
実際にさまざまな掲示板で、
早くも多くのコメントが寄せられています。
日本人は、世界一マニュアルを見ない国民だと言われています。
ここは慎重にならなければなりません。
なぜなら、日本のマグマがたぎっている地下を、外国の、たとえばべクテルのような怪しげな企業にゆだねますか?
自民党は、限りなく不正選挙であると言われている方法で圧勝してから、早くも政権公約を破ろうとしています。
民主党政権では、少なくとも菅直人政権までは、マニフェストを守ろうという姿勢が見られましたが、今度の政権では、あれよあれよという間に、あれほど反対の意を表明していたTPPに色気を隠さなくなりました。
日本がTPPに参加するということは、べクテルのようなゼネコンにも日本の地熱発電のプラント建設の入札のチャンスを与えなければならなくなる、ということです。
これ以上の説明は必要がないでしょう。
ここから少し複雑な内容に入るため、いったん切ります。
ロスチャイルドによるアイスランド完全乗っ取り劇。
今、エネルギー政策を通じて日本がターゲットになっていることを知り、アイスランドの教訓をどう生かすかが重要になっています。それは次の記事で。